分子イメージングに関する研究

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イメージング技術は近年,基礎研究のレベルにおいてみならず,ヒトを対象とした病気診断といった高次のレベルにおいても,有用なツールとなるべく進化が求められている.この目標を達成するためには,個体応用に適した波長領域・物性を有する色素に基づく蛍光プローブの開発はもちろんのこと,それ以外のモダリティーの機能化も必要であり,例えば現在臨床で汎用されているMRIに応用できる機能性造影剤の創出もその一つである.さらに,それら複数のモダリティーを組み合わせた「マルチモーダルなイメージング技術」も重要である.我々は,独自に確立する機能性分子の設計手法に則り,新たな近赤外蛍光プローブや機能性MRI造影剤の開発研究を展開しており,個体レベルにおいて,癌や虚血といった病態の可視化を可能とする実用的なプローブを目指し,研究を進めている.

我々の研究室で注力して開発をすすめてきた 10位 Si 置換キサンテン誘導体をはじめとした長波長蛍光プローブ母核は,誘導体化により,動物個体深部のイメージングに適した波長特性を付与することが可能であり,蛍光 in vivo イメージングへの応用が期待されている.研究室では蛍光のみならず,MRI や生物発光を応用したイメージング技術の研究も行っており,多様な手法によって動物内で引き起こされる多様な現象の解明へ向けて,研究が進んでいる.


最近の成果


  1. "Molecular Design of Near-infrared (Nir) Fluorescent Probes Targeting Exo-peptidase and Application for Detection of Dipeptidyl Peptidase 4 (DPP-4) Activity "  Yuki Hoshino, Kenjiro Hanaoka, Kei Sakamoto, Masahiro Yasunaga, Takashi Kojima, Daisuke Kotani, Ayumu Nomoto, Eita Sasaki, Toru Komatsu, Tasuku Ueno, Hiroyuki Takamaru, Yutaka Saito, Yasuyuki Seto, and Yasuteru Urano

    RSC chem. biol.

    , 3, 859-867 (2022) doi:10.1039/D1CB00253H
  2. "Rapid Visualization of Deeply Located Tumors In Vivo by Intravenous Administration of a γ-Glutamyltranspeptidase-Activated Fluorescent Probe"  Akihiro Nakada, Takuma Maruyama, Mako Kamiya, Kenjiro Hanaoka, and Yasuteru Urano

    Bioconjug. Chem.

    , 33, 3, 523–529 (2022) doi:10.1021/acs.bioconjchem.2c00039